全銀システム障害の概要とエラー原因

■障害の概要

全国銀行データ通信システム(全銀システム)は、2023年10月10日から11日にかけて
大規模なシステム障害に陥った。
この障害により、10の金融機関で他行宛ての振り込みができない不具合が2日間続いた。
この障害の影響で、送金・着金遅れは500万件を超えた。

この障害の原因は、プログラムの設定ミスによる容量不足。
また、切り戻しができなかったり、パッチ作成に失敗したりしたため、障害復旧まで
2日間かかった。
未だに根本原因は特定できず、暫定的な“代替対応”のまま運用しているという。

全銀ネットは、10月18日に記者会見を開き、障害に関する原因調査の状況などを説明。
一般社団法人全国銀行資金決済ネットワーク加盟金融機関は、障害によりお客さまに
生じた損失の補償にかかる申し合わせを行った。

■エラー原因

全銀によると、中継コンピュータでエラーが発生した直接の原因は、
銀行間手数料を入力する際に参照するインデックステーブルが壊れていたこと。
一部金融機関のコードが読み取れず、エラーが発生した。

エラー発生箇所は、送金や振込の依頼を受けた銀行が振込先の銀行に支払う手数料
(内国為替制度運営費)の金額入力方法。

全銀は23シリーズの導入にあたり、手数料の金額入力を、
1)金融機関が予め電文に金額を入力して中継コンピュータに送信する、
2)予め中継コンピュータに設定されたテーブルを参照し、コンピュータが電文に金額を入力する、
という方法を用意していたが、
今回のトラブルは、2)を選択した10行で発生したという。